昔から洋の東西にかかわらず、「美しい体・美しい肌」でありたいと想う気持ちは万人共通するところです。

 容姿の美とは、外見から均整のとれたプロポーションであり、それらは余分な皮下脂肪を取り除き、適度に発育した筋肉の躍動する曲線と真っ直ぐに伸びた正しい姿勢は、立座りや歩行も自然と美になります。しかし、肥満からくる腰痛、膝痛また丸めた背腰は内臓の圧迫により、様々な疾患など作りだします。また逆に内臓の異常(東洋医学では内邪)が正しい姿勢を変えて居ることもあります。

 また皮膚の美とは、顔だけのことではなく、全身が同じ皮膚で包まれており、これらに鍼灸を施こすことにより気血の流れを良くし、皮膚表面が皮脂と汗とで適当にシットリとした輝や張りをもたらしてくれるのです。

 これらを阻害するものは、外界の厚さ寒さ湿気、乾燥、気温気圧の変化(東洋医学では外邪)に敏感で、体表より受ける刺激に対して常に反応して内部(臓腑)へ及ばないよう調節しています。

 また内部に異常があると「皮膚は内臓の鏡」とも伝われ、すぐに皮膚へ反映し、吹出物やカサツキのほか便秘、不眠、冷え、ストレスなど色々な症状からも、肌にツヤや張りがなく体調も歪みを起こし、お化粧のノリも悪くなります。

 鍼灸を体に施こすことにより体調の改善に導くことになります。

 美容鍼灸とは、単なる美(装)だけを求めることではなく、外邪を防ぎ内臓腑を整え、また同様に耳鍼は反射区を活用し、顔へは皮膚と一体である表状筋への新陳代謝を促し、結果的に心身共に健康を保つことで本当の美しさが作り出されます。これが美容鍼灸の真髄です。

 全身を調え美しさも保持する鍼灸は、まさに一挙両得の施術ではないでしょうか。

(専任教員)安齋昌弘