新型コロナウイルス

最近は毎日、新型コロナウイルス(COVID-19)の報道がされています。
首相官邸のホームページ『新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~』1)には、「普段から、十分な睡眠とバランスのよい食事を心がけ、免疫力を高めておきます。」と掲載されています。
そこで今回は、「免疫力を高める」ために鍼灸の効果があるかお話したいと思います。

鍼灸養成学校には『はりきゅう理論』2)という科目があり、鍼灸施術の科学的解明を学びます。その中の『鍼灸治療による生体防御機構に及ぼす影響』3)のページには、鍼灸の科学的な免疫系に対する反応が記載されています。

まずは、鍼の免疫系に対する反応から説明していきます。
鍼施術をすることにより、NK細胞やT細胞の移行を促進することが報告されています。NK細胞は、ウイルス感染した細胞を破壊し、ウイルスの排除を行う作用があります。T細胞には様々な種類が存在しますが、ここでは特にウイルス感染に関与する細胞傷害性T細胞を紹介します。細胞傷害性T細胞は、ウイルス感染した細胞を破壊し、そのウイルスを記憶、そして次に感染した時に迅速な対応を行えるようにする働きがあります。このような事から、鍼施術をすることにより細菌・ウイルスを排除し、次に同じウイルスに感染しても対応が早くなる可能性があります。

次にお灸の免疫系への反応を説明していきます。
お灸施術をすることにより、マクロファージが施術後と5日後に活性化する事が認められています。マクロファージとは、体に入って来る異物(細菌など)に対して、貪食(どんしょく)(異物を細胞内に取り込み、殺菌する働き)する作用があります。
また、NHK総合にて2018年9月24日に放送された『東洋医学 ホントのチカラ』の中で、『モクサアフリカ』4)の活動が放送されました。『モクサアフリカ』とはアフリカでの結核予防、HIV/エイズとの重複感染や薬剤耐性結核といった脅威をお灸の働きにより取り除く取り組みです。ここでも、免疫力を高める作用が関わっています。ホームページには、2016年にRCT/臨床研究の結果、結核とHIV患者のお灸の効能として免疫力(CD4)の向上を証明することに成功したとの報告もあります。
このような事から、お灸は結核などの細菌やウイルスの予防や感染後の進行を抑える可能性があります。

鍼・灸ともに免疫系の活動を亢進するとの報告があります。
最近は、毎日新型コロナウイルス(COVID-19)の報道が行われています。
そこで、鍼灸施術を受けご自身の免疫力を高めてみてはいかがでしょうか。

1)首相官邸 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
2)公益社団法人東洋療法学校協会:はりきゅう理論(2019)
3)公益社団法人東洋療法学校協会:はりきゅう理論(2019)P86-89
4)MOXAFRICA JAPAN  https://www.moxafrica-japan.com/

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