お知らせ

第40回『痛風』<赤門教職員コラムリレー>

みなさん!こんにちは!
いつも赤門鍼灸柔整専門学校のコラムリレーをご覧になっていただき、ありがとうございます。

今回は『痛風』という病気についてお話をさせていただきます。
私自身、痛風を起こす一歩手前であり、私の周りにいらっしゃる痛風を経験された方からも「とても痛い」と聞いていますので、ちょっと怖いです。

この『痛風』という病気は、食べ過ぎ、飲み過ぎ、肥満、ストレス、遺伝などが原因となり、血液の中に尿酸という物質が溜まってしまうことで起こります。

ビールを片手に美味しいものばかり食べて、おなかが出てきた男性方々、要注意ですよ!足の親指の付け根が腫れあがって、とてつもなく痛くなります。

実は、この『痛風』、昔は庶民にはとてもまれな病気でした。歴史上の人物では、アレクサンダー大王、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ニュートン等が痛風に苦しめられていたようです。(諸説あります)日本では、高度経済成長期にかけて『痛風』をわずらう人が爆発的に増加しました。

経済や生活は豊かになったけれど、そのことにより、病に苦しむ人々が増えるのは残念なことと思います。

東洋医学には『医食同源(いしょくどうげん)』(意味:食事は医療の根本であり、病気を治す薬と健康を増進する食事とは、本来根本は一緒であるから、日常の食生活に留意することが大切だとする東洋医学の考え方。『学研 四字熟語辞典』より抜粋)という言葉があります。

私もこの言葉を胸に刻み、食べ物の誘惑に負けず、健康な体を作っていきたいと思います。

<学科副主任>伊東太郎

第39回『脱毛症に対するアプローチ』<赤門教職員コラムリレー>

脱毛症

まず脱毛とは、「髪の毛が異常に抜け落ちる状態」(いわゆる脱毛・抜け毛)だけではなく、髪の毛そのものは抜けないものの、「毛の質や太さ、色調などが変化し、毛がまばらで地肌が見える状態」(いわゆる薄毛)も含まれます。
成長期の髪の毛と休止期の髪の毛の比率は約85:15であると言われており、正常状態で脱毛する毛は休止期の毛で、頭髪の数を10万本とすると毎日70~80本は生理的に脱毛するとされています。生理的脱毛の範囲を越えて異常に脱毛してしまうことに対しての東洋医学的アプローチについてお話しします。
頭全体の頭髪が抜けてしまう「全頭脱毛症」、頭髪の生え際が帯状に抜けてしまう「蛇行状脱毛症」、思春期以降に見られ、薄毛の範囲が広がっていく「壮年性脱毛症」、意識的もしくは無意識的に髪の毛を抜くという行為を繰り返してしまう「抜毛狂」は非常に治癒しにくいとされています。
一方、自律神経失調、精神的ストレス等によって髪の毛の一部が円形や楕円状に抜ける「円形脱毛症」は、脱毛部分の頭皮の循環改善を目的としてその周囲を中心に、頭部や肩背部を中心に筋緊張、圧痛、硬結などの反応がみられる部分やツボに刺激をすることで改善が見込まれるものです。

脱毛症ツボ

効果的とされているツボは天柱・肩井・風池・和髎・曲差・翳明になります。これらのツボへは指先で気持ちがよい程度に圧迫してください。その他、頚肩周りで張っている場所、押して痛みが出る部位、硬さの見られる部位へは、それらをほぐすように圧迫してください。また、脱毛部とその周囲へ爪楊枝や歯ブラシを使用してチクチクと刺激をしたり、脱毛中心部はせんねん灸などを使用し温めたり、頭部全体へのマッサージも効果的とされています。
※頭部へのせんねん灸への取扱いは十分注意をしてください。爪楊枝は数本を輪ゴムで束ねて軽い刺激で行うと良いです。慣れるまでは鋭くない方で行うか、鋭い方を少し潰して行っても良いです。

(専任教員)高橋 はるか

第38回『便秘と下痢』<赤門教職員コラムリレー>

便秘と下痢

みなさん。こんにちは。赤門教職員コラムリレーをご覧いただきありがとうございます。赤門鍼灸柔整専門学校教員の伊東と申します。

今回は「便秘と下痢」についてお話をさせていただきます。
赤門コラムリレーをご覧の方にも便秘と下痢を繰り返す方が多いのではないでしょうか。私もその一人です。

便秘と下痢といってもその原因は様々です。ストレス、食中毒、病原菌への感染、服薬しているお薬の影響、がんなどもあったりします。よって、便秘と下痢が続くようであれば、まずはお近くのホームドクターの診察を受けましょう。

ここからは、私、はりきゅう師としての便秘と下痢のお家でできるかんたん対処法をお話しいたします。(諸説あります・・・)

【対処方法】
①おへその周りをあたためる。
昔の人はおへそとその周辺にお塩をのせてその上からお灸をしたそうです。

②足のツボをやさしくおす。
膝のお皿の骨の外側にあるくぼみから指4本分下がったところで、すねのふちにあるツボ:足三里穴(あしさんり)。
『奥の細道』で有名な松尾芭蕉がよくお灸をしていたといわれているツボです。

③手のひらのまん中にあるツボをやさしくおす。
手のひらを上にして、かるく手を握ったときに、中指の先端が手のひらにあたるところにあるツボ:労宮(ろうきゅう)。
緊張をしやすい、ストレスが多くて便秘と下痢を繰り返す方におすすめ。緊張やストレスをほぐしてくれるツボです。

ストレスが多い現代社会、穏やかに、健やかに、便秘や下痢に悩まされない生活を送りたいものですね。

(学科副主任)伊東太郎

第37回『膝痛・変形性膝関節症』<赤門教職員コラムリレー>

日本は、世界でも類をみないスピードで「超高齢社会」を突き進んでおります。この超高齢社会の影響を色濃くうける疾患の一つに「関節症」があります。厚生労働省の平成29年患者調査(疾病分類編)では平成2年(1990年)に23万8千人だった患者数は、平成29年(2017年)には143万人へと、およそ6倍に増えていることが確認できます。
そんな「関節症」の代表選手、「変形性膝関節症」に絞ってお送り致します。

■どんな人に痛みがでるのか?
①年齢を重ねるごとに少しずつ関節の軟骨がすり減り炎症や変形が起きる。
②運動時の膝関節には体重の4~6倍もの負荷がかかる。
③閉経後のホルモンバランスの変化で骨がもろくなる。
以上の理由から①高齢で②肥満気味の③女性に多く膝痛がみられます。
その為、歳をとるのは止められないですが、プールや自転車エルゴメーターなど関節に負荷を掛けない運動によるダイエット、昨今は更年期のホルモン補充療法が期待されております。

赤門コラム

■膝痛がみられる方に注目して欲しい2つのポイント
1つ目は膝の前面にある膝蓋骨、通称:膝のお皿です。ご自身で左右両方のお皿を掴み、お皿を上下左右に動かしてみて下さい。ほとんどの方で、より痛む側のお皿の動きが「悪い」「硬い」と感じるかと思います。
2つ目のポイントは、膝を完全に伸ばせるかどうかです。下図にあるように椅子に座った状態から足を前方に挙げてみて下さい。完全に伸ばしきります。先程のお皿の動きと同様、左右の動きの感覚を確認してみて下さい。途中で「引っ掛かりを感じる」や、完全に伸ばした際の「太ももと脛が直線にならない」などです。
以上2つの動きの感覚を覚えておいて下さい。2つの動きの感覚を改善(変化)させる事で膝痛の軽減が期待できます。ツボへのアプローチ後に再度動きの確認をを行います。

赤門コラム

■効果が見込めるツボへのアプローチ方法
右図中央は右のお皿を示します。お皿の周りを囲むように5箇所ツボを示しました。
それぞれ、1:特鼻(とくび)、2:内膝眼(ないしつがん)、3:梁丘(りょうきゅう)、4:膝上(しつじょう)、5:血海(けっかい)という名前です。
5箇所のツボを以下の手順で刺激してみましょう。
「千年灸」を5箇所に1壮ずつ据えます。熱感が心地よく感じられれば、その後2セット繰り返します。千年灸が手元にない場合は指圧でもよいかと思います。指圧の場合は3秒かけて圧し、3秒静止、3秒かけて減圧して行く方法を3セット程お試しください。
千年灸・指圧のツボへのアプローチが終わったら、再度「お皿の動き」と「膝伸ばし」を行い、ご自身で効果の判定を行ってみて下さい。※この方法で変化が見られない場合は治療所への来所をオススメしております。

残念ながら関節は消耗品です。しかし、機械の身体のように壊れたら交換するわけにはいきません。膝痛が進行することで、身体活動性が低下し、筋力が落ちます。筋力が低下することで、更に身体活動性が低下するという悪循環に陥ります。転ばぬ先の杖と思い、日頃からの痛み-筋力-活動性についてのケアをオススメ致します。

(学科主任兼臨床所主任)國分俊繁

第36回『難聴・耳鳴り』<赤門教職員コラムリレー>

寒くなってきましたね。
コロナ渦ということもあり、ストレスもたまりがちだと思います。
そうすると血行が悪くなり、肩こりや頭痛、そして耳鳴りを生じやすくなります。ひどくなると耳が詰まった感じがして、聞こえが悪くなるなんてこともあります。
Go To キャンペーンを利用して温泉で温まってのんびりしたいところですが、なかなかそうもいきませんよね。

東洋医学でも同じように、寒さとストレスは気の巡りを悪くさせ、耳鳴りや難聴の原因となります。
耳鳴りについて、耳を塞いで音が大きくなるのは「実証(じっしょう)」(邪気が停滞した状態)、音が小さくなるのは「虚証(きょしょう)」(パワーが不足している状態)と考えられています。
また、潮の流れのように音の性状が大きくなったり小さくなったりするものには「風」が関与しており、頭の中で「風」が吹くのでめまいを伴います。

そして高音の耳鳴り(キーン・ミーミーなど)は、肝の臓が関係し、低音の耳鳴り(ブー・ジージーなど)は腎の臓が関係しています。
耳の血行を良くするには、耳をつまんで軽く引っ張り、優しく回してみましょう。すると頭部全体が温かくなって、耳が通ったような感じがすると思います。

寒さやストレスが原因となるものは頚肩こりを伴うことが多いです。ツボ押しするならば首の付け根の「風池(ふうち)」、耳の後ろの「翳風(えいふう)」、肩上部の「肩井(けんせい)」、耳周囲の「耳門(じもん)」や「聴会(ちょうえ)」を、気持ちよく感じる力度で、呼吸に合わせてそれぞれ10回くらいずつ押してみましょう。

ツボ押し
ツボ押し
ツボ押し

(専任教員)宍戸新一郎

第35回『頭痛』<赤門教職員コラムリレー>

頭痛とは、その名の通りで頭部の痛み(表面的な痛みを除く)のことです。単純なものと思いきや実は分類が多岐にわたるものなのです。皆さんも一度は経験したであろう身近な疾患なので安易に考えがちですが、クモ膜下出血など頭痛を主症状とした命に係わる疾患もあるため、正しい判断と早めの対処が必要となります。

頭痛は、原因となる疾患がない「一次性頭痛」、他の疾患が原因となって起こる「二次性頭痛」などに分類されます。今回は「一次性頭痛」のなかでも皆さんに身近な「緊張型頭痛」や「片頭痛」についてです。 まずは、「緊張型頭痛」と「片頭痛」との大まかな比較です。(もちろん例外もあります!)

 

緊張型頭痛

片頭痛

発症

精神的・肉体的ストレスや姿勢異常などで筋肉が過緊張となった時に多い。

過度な緊張状態が緩和された時などに多い。

症状

重苦しく締め付けられるような鈍い痛み

(ハチマキで強く絞められたような痛み)

ズキズキと拍動性の痛み

(非拍動性のものも有り)

特徴

血行促進により痛みが軽減する。

血行促進により痛みが悪化する。

発症時の対応

筋肉が緊張状態となることを避け、血行促進(運動や入浴など)して筋緊張を緩和する。

静かな暗所で安静にする。

患部付近への強い刺激や血行促進(運動や入浴など)は避ける。

経穴(ツボ)

首や肩の筋緊張を緩和するツボを中心に用いる。

発症時は患部付近への刺激を避けたツボを中心に用いる。

次に、経穴(一人で出来るツボ刺激)についてです。
「緊張型頭痛」では、首や肩の筋緊張を緩和し血行促進を目的とするので、患部を中心に刺激します。


●天柱・・・首の後ろにある骨(頚椎)の両側にある筋肉の外側の窪み
●風池・・・耳の後ろにある骨(乳様突起)の更に後ろで、後頭骨の下の窪み
●完骨・・・耳の後ろにある骨(乳様突起)の先端後下方の窪み
●肩井・・・首の後ろ正中にある出張った骨(第7頚椎)と肩先端の中央部

「片頭痛」では、発症時の血行促進は悪化の原因となりやすいので、患部を避けて刺激します。
(ただし、症状が出ていない時は患部となりやすい側頭部などを刺激しても大丈夫です!)

●列欠・・・手首の第1指(親指)側にある横シワから第1指の幅1.5本分上方の窪み
(手首の第1指側にある出張り(茎状突起)の手前の窪み)

●合谷・・・手の甲で、第1指(親指)と第2指(人差し指)の付け根から第2指の関節部との中央部

●三陰交・・・内くるぶしから指の幅4本分上方で骨の際(後方)

●足臨泣・・・足の甲で、第4指と第5指(小指)の付け根にある窪み

ほんの一部ですが、以上のような経穴(ツボ)を指で優しく押したり・揉んだり(強さは気持ちが良いと思う程度)、安定した部位であれば市販のお灸をすえるなど、セルフケアは可能ですので試してみてください。難しい場合には、温めたタオルなどを当てるのも効果的です。

ただし、治りたいからといって「無理をして強い刺激を我慢」したり、時間が解決してくれるだろうと「経験したことのないような酷い頭痛を放置」したりするのは止めてください。セルフケアには限界がありますので、その時は病院・鍼灸院やマッサージ院に来院してください。

他にセルフストレッチなどもありますので、またの機会にご紹介したいと思います。

(教務主任)髙橋務

第34回『鍼灸の日本起源説』<赤門教職員コラムリレー>

赤門コラム

紀元後1世紀ごろに成立したと考えられる中国最古の医学書の一つである『素問』には「東方の地の人びとは、魚類や塩味を好むので…この地ではデキモノを病むことが多く、その治療には‘砭石(ヘンセキ;石製のメス)’による処置が適する。それゆえ砭石の治療は東方から伝来した。(異法方宜論篇)」とある。

また、スイスの氷河から約5千年前のミイラが発見され、その皮膚のツボにあたる場所には入墨によるマーキングがされていたことから、鍼灸の起源がヨーロッパであるという説が有力になった。ロシアのアルタイ山脈の約2千5百年前の遺跡からも同様のミイラが出てきており、この説を裏付けるものとされる。

しかしながら、入墨文化はもっと古くから存在しており、縄文土偶は6千年前ころから作られており、その多くに入墨が施されていることが知られている。また、石製のメスは考古学的には「細石器(石刃)」に属すが、その材料となる黒曜石は北海道の遠軽町や伊豆諸島の神津島などから産するものが各地の縄文遺跡から出土する。細石器自体はロシアのバイカル湖周辺で約3万年前に登場し、日本へは1万数千年前には伝播している。

さらに、鹿児島県南端の海底火山が約7千2百年前に大爆発を起こし、その火山灰が東北地方にまで及んだことで、一時的に縄文文化の断絶が起こるが、その時期と呼応するかのように東シナ海の対岸に位置する中国の長江河口付近には、縄文文化に酷似する河姆渡(かぼと)文化や馬家浜(ばかほう)文化が開花する。これらの文化領域が徐々に北上し黄河流域に及んだことで黄河文明が成立した。

時代が下るにつれて、今度は逆に中国江南地方から稲作文化をもたらした人々が日本に渡来したことで弥生文化に繋がるとされるが、縄文人の遺伝子や縄文文化の名残は今現在の日本にも色濃く残っている。
周辺の事実を組み合わせていくと、もはや鍼灸文化のルーツは日本の縄文時代だったとしか考えられなくなる。

(臨床教育専攻科 専任教員) 浦山久嗣

第33回『腱鞘炎』<赤門教職員コラムリレー>

腱鞘炎というと、多いのが親指を動かすと痛みが出るド・ケルバン病があります。原因は親指を伸ばす筋肉のうち親指を大きく広げると、手首に出る短母指屈筋腱と長母指外転筋腱が腱鞘と呼ばれるトンネルを通過する際に擦れ、使い過ぎによって発生します。スポーツでは、テニスや野球などの手でラケットやバットを握る動作をする人、仕事でのパソコン操作や家事で指を多く使う人や最近ではスマートフォン操作で発生する人も多いといわれています。

自分がド・ケルバン病かを調べるためにフィンケルシュタインテストというのがあり、下記の写真のような動作をして痛みが誘発されれば陽性とします。
赤門コラム

治療ですが、使い過ぎが原因ですので、安静が必要になります。包帯やサポーターなどでの固定もあるのですが、今回は簡単にできるテーピングを紹介したいと思います。
下記のような50㎜幅のテーピングを準備して途中まで半分の幅で切り込みを入れていきます。

腕の途中から末梢に貼っていき、

親指を左右からそれぞれ巻いて、

完成すると下記の形になります。

きつ過ぎると血管を圧迫して苦しくなるので、強さに注意して下さい。
痛みが続くときにはお近くの接骨院・整骨院に相談をしてみてください。

<学科副主任兼教務副主任>石垣寛高

第32回『腰痛と向き合ってみませんか』<赤門教職員コラムリレー>

▼腰痛は国民病
厚生労働省が毎年実施している「国民生活基礎調査」において、3年に1度、健康に関する調査も行っています。その一項目に「自覚症状の状況」(複数回答)があります。
最新の調査結果(2019年)、もっとも多い自覚症状は「腰痛」(男性で1位、女性では2位。女性の1位は肩こり。過去の調査も同様)でした。

▼腰痛の診療は難しい
腰痛の最新の診療の指針として『腰痛診療ガイドライン2019改訂版』(監修:日本整形外科学会、日本腰痛学会)があります。この序文で「腰痛診療は,未だ『発展途上』と言っても過言ではない.」と述べています。
腰痛の原因は多種多様で心因性のものもあり、「腰椎から脳にいたるあらゆる部位で様々な病態が関与」し、原因不明なものは「未確立の疾患群を詰め込んだ症候群であり、未だ検討の余地が残る」との記載からも腰痛の診療は難しい領域であることが伺われます。

▼腰のために自分でできること
上記ガイドラインに日常生活における留意点の記載がありましたので列挙します。

1.腰痛予防のための
①健康的な体重の管理
②適正飲酒と禁煙
③日常的な運動習慣
④穏やかでストレスが少ない生活

2.腰痛の悪化を防ぐには
①急性腰痛(自然に軽快することが多い)の回復には安静よりも活動維持が良い
②慢性化の防止が大切(慢性腰痛は治りにくい)
③心理社会的要因(うつや精神的ストレスなど)は腰痛を長引かせ、治療効果にも影響を与えるので注意
④身体的・精神的に健康な生活習慣は腰痛の回復に良い影響を与える

▼腰痛に悩まない日常のために
東洋医学では人体を小宇宙と仮定し全身の調整を行います。これは心理面への効果も期待され、前述の腰痛の予防・悪化防止の生活習慣にも良い影響を与えます。
腰痛の中には危険な原因によるものもあります。そのような徴候がみられるときは専門家の受診を提案いたします。
腰痛の症状があっても放置している人が多く、幸福度にも影響を与えているようです。幸福度を上げるためにも、東洋医学の門を叩いてみてはいかがでしょうか。

(専任教員)長岡靖彦

第31回『筋肉痛2』<赤門教職員コラムリレー>

『にわかアスリート』になった方、久々の運動がたいへん心地良くつい運動量を増やしてしまい、翌朝以降、全身の筋肉痛で目を覚ますという辛い朝を迎えた経験を持つ方も多いのではないでしょうか。

筋肉痛には、運動中から発生する『急性筋肉痛』と、運動後、一定の時間が経過してから症状が生じる『遅発性筋肉痛』があり、多くの方が体験するのはまさに『遅発性筋肉痛』です。

この遅発性筋肉痛が生じるメカニズムには様々な説がありますが、多くは不慣れな運動や自身の体力以上の運動を行うことで、筋肉が過度に収縮を繰り返し、筋組織や周辺の組織が損傷、さらに痛みを感じる物質等が加わり炎症が起こり、運動後、数時間から数日後に痛みが生じるものです。

そこでこの痛みを少なくするため、または筋肉に損傷を起こさないためにも筋肉の動かし方に1つのポイントがあります。
運動中の動きには、
1)重い物を持ち上げる(筋肉が縮んで力を出す)
2)重い物をゆっくり降ろす(力の入った筋肉が伸ばされながら動く)
3)筋肉にグッと力を入れるだけ(関節は動かない)
があります。この中で、注目したいのは、2)の重い物をゆっくり降ろす、伸張性収縮です。

この筋肉が伸ばされる動きは、筋線維への負荷が大きくトレーニング効果を出すための重要なポイントですが、強すぎると筋損傷や筋肉痛を発生させる大きな原因の1つと言われています。ダンベルを握って持ち上げる運動であればそこからダンベルを下ろす動き、ジョギングであれば坂を下るときに無意識に行っているブレーキをかける動き、この動きが要注意ということです。

運動中、無意識に行っていた伸ばされているときの動き方やブレーキ動作を意識し、無駄、無理のないフォームなのか等、一連の動作をゆっくり観察される時間を取ってみてはいかがでしょうか。フォームのチェック、そして関連する筋群の補強運動やストレッチングを行うなど、いつも無意識に行っていた運動の中に新たな気付きや楽しさが出てくること、そしてこれらが筋肉痛軽減の1つになるかもしれません。

残念ながら発生してしまった筋肉痛に対しての基本的な処置は安静や冷却ですが、症状によっては温める場合、動作に支障をきたす痛みでは固定が必要になることもるので、このような場合には、お近くの接骨院(整骨院)を受診されて適切な治療を受けて下さい。治療と合わせ、自身に適する運動方法について相談されてはいかがでしょうか。

健康維持のためにも運動は楽しく、そしていつまでも続けたいものですね。

(学科主任兼学生支援主任)高橋武彦

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