まず脱毛とは、「髪の毛が異常に抜け落ちる状態」(いわゆる脱毛・抜け毛)だけではなく、髪の毛そのものは抜けないものの、「毛の質や太さ、色調などが変化し、毛がまばらで地肌が見える状態」(いわゆる薄毛)も含まれます。
成長期の髪の毛と休止期の髪の毛の比率は約85:15であると言われており、正常状態で脱毛する毛は休止期の毛で、頭髪の数を10万本とすると毎日70~80本は生理的に脱毛するとされています。生理的脱毛の範囲を越えて異常に脱毛してしまうことに対しての東洋医学的アプローチについてお話しします。
頭全体の頭髪が抜けてしまう「全頭脱毛症」、頭髪の生え際が帯状に抜けてしまう「蛇行状脱毛症」、思春期以降に見られ、薄毛の範囲が広がっていく「壮年性脱毛症」、意識的もしくは無意識的に髪の毛を抜くという行為を繰り返してしまう「抜毛狂」は非常に治癒しにくいとされています。
一方、自律神経失調、精神的ストレス等によって髪の毛の一部が円形や楕円状に抜ける「円形脱毛症」は、脱毛部分の頭皮の循環改善を目的としてその周囲を中心に、頭部や肩背部を中心に筋緊張、圧痛、硬結などの反応がみられる部分やツボに刺激をすることで改善が見込まれるものです。
効果的とされているツボは天柱・肩井・風池・和髎・曲差・翳明になります。これらのツボへは指先で気持ちがよい程度に圧迫してください。その他、頚肩周りで張っている場所、押して痛みが出る部位、硬さの見られる部位へは、それらをほぐすように圧迫してください。また、脱毛部とその周囲へ爪楊枝や歯ブラシを使用してチクチクと刺激をしたり、脱毛中心部はせんねん灸などを使用し温めたり、頭部全体へのマッサージも効果的とされています。
※頭部へのせんねん灸への取扱いは十分注意をしてください。爪楊枝は数本を輪ゴムで束ねて軽い刺激で行うと良いです。慣れるまでは鋭くない方で行うか、鋭い方を少し潰して行っても良いです。
(専任教員)高橋 はるか