▼腰痛は国民病
厚生労働省が毎年実施している「国民生活基礎調査」において、3年に1度、健康に関する調査も行っています。その一項目に「自覚症状の状況」(複数回答)があります。
最新の調査結果(2019年)、もっとも多い自覚症状は「腰痛」(男性で1位、女性では2位。女性の1位は肩こり。過去の調査も同様)でした。
▼腰痛の診療は難しい
腰痛の最新の診療の指針として『腰痛診療ガイドライン2019改訂版』(監修:日本整形外科学会、日本腰痛学会)があります。この序文で「腰痛診療は,未だ『発展途上』と言っても過言ではない.」と述べています。
腰痛の原因は多種多様で心因性のものもあり、「腰椎から脳にいたるあらゆる部位で様々な病態が関与」し、原因不明なものは「未確立の疾患群を詰め込んだ症候群であり、未だ検討の余地が残る」との記載からも腰痛の診療は難しい領域であることが伺われます。
▼腰のために自分でできること
上記ガイドラインに日常生活における留意点の記載がありましたので列挙します。
1.腰痛予防のための
①健康的な体重の管理
②適正飲酒と禁煙
③日常的な運動習慣
④穏やかでストレスが少ない生活
2.腰痛の悪化を防ぐには
①急性腰痛(自然に軽快することが多い)の回復には安静よりも活動維持が良い
②慢性化の防止が大切(慢性腰痛は治りにくい)
③心理社会的要因(うつや精神的ストレスなど)は腰痛を長引かせ、治療効果にも影響を与えるので注意
④身体的・精神的に健康な生活習慣は腰痛の回復に良い影響を与える
▼腰痛に悩まない日常のために
東洋医学では人体を小宇宙と仮定し全身の調整を行います。これは心理面への効果も期待され、前述の腰痛の予防・悪化防止の生活習慣にも良い影響を与えます。
腰痛の中には危険な原因によるものもあります。そのような徴候がみられるときは専門家の受診を提案いたします。
腰痛の症状があっても放置している人が多く、幸福度にも影響を与えているようです。幸福度を上げるためにも、東洋医学の門を叩いてみてはいかがでしょうか。
(専任教員)長岡靖彦