頭痛とは、その名の通りで頭部の痛み(表面的な痛みを除く)のことです。単純なものと思いきや実は分類が多岐にわたるものなのです。皆さんも一度は経験したであろう身近な疾患なので安易に考えがちですが、クモ膜下出血など頭痛を主症状とした命に係わる疾患もあるため、正しい判断と早めの対処が必要となります。

頭痛は、原因となる疾患がない「一次性頭痛」、他の疾患が原因となって起こる「二次性頭痛」などに分類されます。今回は「一次性頭痛」のなかでも皆さんに身近な「緊張型頭痛」や「片頭痛」についてです。 まずは、「緊張型頭痛」と「片頭痛」との大まかな比較です。(もちろん例外もあります!)

 

緊張型頭痛

片頭痛

発症

精神的・肉体的ストレスや姿勢異常などで筋肉が過緊張となった時に多い。

過度な緊張状態が緩和された時などに多い。

症状

重苦しく締め付けられるような鈍い痛み

(ハチマキで強く絞められたような痛み)

ズキズキと拍動性の痛み

(非拍動性のものも有り)

特徴

血行促進により痛みが軽減する。

血行促進により痛みが悪化する。

発症時の対応

筋肉が緊張状態となることを避け、血行促進(運動や入浴など)して筋緊張を緩和する。

静かな暗所で安静にする。

患部付近への強い刺激や血行促進(運動や入浴など)は避ける。

経穴(ツボ)

首や肩の筋緊張を緩和するツボを中心に用いる。

発症時は患部付近への刺激を避けたツボを中心に用いる。

次に、経穴(一人で出来るツボ刺激)についてです。
「緊張型頭痛」では、首や肩の筋緊張を緩和し血行促進を目的とするので、患部を中心に刺激します。


●天柱・・・首の後ろにある骨(頚椎)の両側にある筋肉の外側の窪み
●風池・・・耳の後ろにある骨(乳様突起)の更に後ろで、後頭骨の下の窪み
●完骨・・・耳の後ろにある骨(乳様突起)の先端後下方の窪み
●肩井・・・首の後ろ正中にある出張った骨(第7頚椎)と肩先端の中央部

「片頭痛」では、発症時の血行促進は悪化の原因となりやすいので、患部を避けて刺激します。
(ただし、症状が出ていない時は患部となりやすい側頭部などを刺激しても大丈夫です!)

●列欠・・・手首の第1指(親指)側にある横シワから第1指の幅1.5本分上方の窪み
(手首の第1指側にある出張り(茎状突起)の手前の窪み)

●合谷・・・手の甲で、第1指(親指)と第2指(人差し指)の付け根から第2指の関節部との中央部

●三陰交・・・内くるぶしから指の幅4本分上方で骨の際(後方)

●足臨泣・・・足の甲で、第4指と第5指(小指)の付け根にある窪み

ほんの一部ですが、以上のような経穴(ツボ)を指で優しく押したり・揉んだり(強さは気持ちが良いと思う程度)、安定した部位であれば市販のお灸をすえるなど、セルフケアは可能ですので試してみてください。難しい場合には、温めたタオルなどを当てるのも効果的です。

ただし、治りたいからといって「無理をして強い刺激を我慢」したり、時間が解決してくれるだろうと「経験したことのないような酷い頭痛を放置」したりするのは止めてください。セルフケアには限界がありますので、その時は病院・鍼灸院やマッサージ院に来院してください。

他にセルフストレッチなどもありますので、またの機会にご紹介したいと思います。

(教務主任)髙橋務