柔道整復師の第1回国家試験が平成5(1993)年に実施され、令和4(2022)年で30回目の国家試験を迎えることになります。柔道整復師国家試験は、国民に安全な医療を提供するものとして質を保つため、また近年の医学、医療の進歩や発展、そして社会制度の変革等に対応するため、数年単位で国家試験出題基準が見直されています。
第1回国家試験が200問でスタート、第14回平成18(2006)年より必修問題が追加され230問になりました。近年では、柔道整復師のさらなる質の向上を図る目的で必修問題の見直しが行われ、必修問題数が増加、第28回令和2(2020)年より必修問題は50問となり、問題数は250問となりました。
ここ数年の国家試験問題の変化として、柔道整復施術の基礎や鑑別能力、保険診療や関係法規に関する問題、さらには柔道整復師として問題解決能力が問われる臨床実地問題が増えている傾向にあります。
今後の更なる変化としては、令和4年3月(2022年)より、従来の問題範囲に加え、現代社会の変化への対応のため、高齢者の生理学的特徴・変化、競技者の生理学的特徴・変化、高齢者や競技者の外傷予防、そして職業倫理や社会保障制度等々、幅広い分野、そしてより専門的で高度な知識が求められています。
本校では、学生全員の国家試験合格に向け、初年度は体の構造等、医学を基礎から学び、学年が進むごとに実際の臨床に結び付ける外傷メカニズム、整復法、固定法、一般医学を重点的に学びます。最終学年では患者対応を想定した実技や臨床実習、さらに国家試験に向け各科を結び付けた応用、総合的な学習を行っています。
国家試験対策は対応科目も広範囲そしてより高度な知識獲得が必要であるため、学生一人一人に対応した個別指導に力を入れています。
学生にとって国家試験合格は大きな目標でありますが、国家試験合格のみに偏りがちにならないよう、柔道整復師として、社会から必要とされる医療人となれるよう、正しい医学知識と伝承される技術の獲得、高い倫理観を持った学生の育成に力を注いでいます。
(学科主任兼学生支援主任)高橋武彦