骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの際に、骨を正しい位置に戻す(整復)、固定等を行い、人間の持つ治癒能力を最大限に活かす『非観血的療法』を行います。
歴史を探ると718年(養老元年)の『養老律令』の中で、骨や関節のケガについての記述があります。日本古来の武術には、相手を倒す『殺法』と、傷ついた人を治す『活法』があります。殺法の一部が『柔術』となり、活法が骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷を治す『接骨術』となり現代まで受け継がれてきました。このように柔道整復術のルーツは古来の武術にあります。現在、NHK大河ドラマ『いだてん』で主人公の師匠として登場している嘉納治五郎先生は、柔術を学び、その後『柔道』を生み出し、『柔道の父』と言われるようになりました。
明治時代になると西洋医学の導入、またその後、法律的な問題などの大波もありました。しかし先人たちの努力、また国民より必要とされる医療として現在に至り、2001年(平成13年)にはWHO発行の『伝統医療と相補・代替医療に関する報告』で柔道整復師が紹介され、日本の伝統的な施術として広く認知されました。
柔道整復師は、医療系の国家資格で、指定された養成施設の専門学校(3年以上)、大学(4年)を卒業し、国家試験を受験、合格することで取得できます。
現在の柔道整復師は接骨院(整骨院)を開業して地域住民の治療を行う方、整形外科や医療機関のスタッフとして活躍されている方、スポーツ現場にあってはジュニア選手から世界で活躍するトップアスリートのトレーナーとして活躍する方、さらに介護・福祉の分野で機能訓練指導員として活躍する方と様々な方面から必要とされて活躍しています。
『殺法』、『活法』という起源に始まり、歴史的な様々な困難を乗り越え現代にいたる伝統、伝承されてきた柔道整復師、この『柔道』という名称が示すように医療職名称で、日本の武道の1つである名称が付く医療職種は世界を見渡しても存在しません。この歴史と伝統を継承されてきた柔道整復師、この道を進むヒトの育成にあたることが赤門鍼灸柔整専門学校の重要な使命でもあります。
(学科主任兼学生支援主任)高橋武彦